| 2009.07.08 講演会資料 |
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| 「学びの習慣」のつくり方 |
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How to make Habitus of Learning |
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田中智志(山梨学院大学附属小学校)2009. 07. 08 |
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今日は、「学びの習慣のつくり方」について、お話しします。
子どもが一人で、それも自分から勉強してくれるなら、親としてとてもうれしいことです。子どもにとっても、自然に、とりたてて強く意識しなくても、勉強をはじめられるなら、ストレスもなく、自信もついてきます。基本的に、「学びの習慣」は、 家庭学習 の繰り返しのなかで、形成されていきます。 |
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○自分で宿題はできない!? |
発達心理学の立場からいえば、すくなくとも小学校低学年くらいまでは、子どもが自分の部屋で一人で自分から勉強すること(「 自己学習 」)は、困難です。
この時期の子どもたちにはまだ「 自己モニター 」が成立していないからです。「自己モニター」というのは、心理学用語で、たえず自分で自分のことを振り返り続ける能力です。 |
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○長すぎず近づきすぎず |
今述べたように、小学校低学年の子どもたちは、自己モニターが充分ではないため、何かに夢中になると、他のことはみんなどこかにいってしまいます。
したがって、低学年の子どもの場合、家庭学習は、近くに人の気配を感じられるリビングで行うのが、いちばんいいでしょう(テレビは消しましょう)。
しかし、低学年の場合、長時間の家庭学習は避けるべきです。低学年ではせいぜい30分でしょうか。また、そばにべったり張りつくのもやめましょう。 |
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○4年生からは勉強時間をふやそう |
発達心理学で「 10歳の壁 」といわれるように、だいたい4、5年生になるころに、とたんに勉強ができなくなってしまう子どもがいます。
これは、4年生の教科書あたりから、急に言葉が抽象的になってしまうからです。しかも、4年から6年生で勉強することは、中学で学ぶ基礎ですから、この時期に学ぶことがきちんとわかっていないと、中学でもっと大きな壁にぶつかることになります。
したがって、4年生あたりから、自宅での勉強時間を徐々に増やす必要があります。 |
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○好きな本をじっくり読ませる |
「10歳の壁」をのりこえる方法の一つは、 本をよく読ませる ことです。
本を読むことは、大人にとっては娯楽ですが、子どもにとっては無理のない勉強です。
文章に慣れ親しむことで、 文章構成力 が高まり、 語彙 も増えていきます。
たとえば、「次の朝、目を覚ますと、やはり雨だった。明け方、夢うつつの中で雨の音が聞こえていた」(『西の魔女が死んだ』)という文章があります。最初の文章と後との文章は、同じ状況を表現した文章です。この二つの文章によって、「夢うつつ」という知らない言葉も、ほぼ理解できるようになります。「目を覚ますちょうどそのときが、夢うつつっていうんだ」と、辞書もひかずに理解できるようになります。 |
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○朝、ニュースをネタに短く会話を |
他にもいろいろな方法があります。たとえば、朝、10分だけでいいですから、新聞のニュースについて 会話 をする、という方法があります。
たとえば、「女性が農業者として次々に起業している」というニュースが載っていれば、それをとりあげて、「この10年間に2.4倍にふえているね」と事実を確認し、「自分の作ったものを自分の名前で売れると、うれしい」という、起業家の言葉を引きながら、「これは女性の自己実現だと思うよ」と、感想を付け加えます。すると、それを聞いた子どもは、具体的な場面とともに「起業」「自己実現」という抽象的な言葉を学びます。
どのような形態であれ、ふだんの親子の会話は、子どもが抽象的思考に身につけるうえで、とても重要な要素です。 |
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○会話そのものを愉しむ |
子どもと会話をするときに大切なことは、あくまでも 会話そのものを愉しむ ことです。子どもを審問しないことです。裁判官のような口調で語らないことです。
いいかえるなら、子どもと同じ目線にたつことが大切です。
言葉は、相手と愉しく会話するなかで、しっかりと定着するからです。 |
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○忘れても大丈夫、焦らずに |
子どもの家庭学習を手助けするときには、 焦らない ことです。子どもの字がきたないと、親は焦ってしまいます。子どもは「相談」と書いているつもりでしょうが、「木目言炎」としか読めなかったり、割り算の仕方をすっかり忘れて、「45÷15=41」と答えたり。
しかし、あまり心配しなくてもいいのです。子どもは、「すごいな」「なるほど」と思ったこと以外は、簡単に忘れるものです。
また、四則演算、たとえば、足し算のときの繰り上がり、引き算のときの繰り下がりなどは、しっかり定着させるべきですが、ささいな間違いは、自然に訂正されていきます。 |
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○ノートは知識の宝庫に |
さて、いよいよ具体的に「学びの習慣」をつくる方法です。まず、「学びの習慣」の中身についていえば、それは、 授業内容の復習 を中心にした ノートづくり です。
たとえば、社会や理科なら、教科書のキーワードをマーカーで色づけし、それをノートに書き写します。そして、そのキーワードだけを見ながら、口頭で文章をつくります。
算数なら、かならず学校で配られるワークシートを、もう一度やります。まちがえたら、その問題だけをノートに書き写し、もう一度、自分で解きます。
そして、テストが返ってきたら、間違えた問題をかならずノートに写し、もう一度解きます。テストは、自分がわかっていないところをしっかり理解するきっかけにします。
こうしたノートづくりをすれば、1日1回の復習だけで、かなり深く記憶の定着をはかることができます。 |
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○わかることが基本 |
こうした「学びの習慣」をつくるうえで、お父さん、お母さんの「理解を助ける」というサポートがもっとも大事な要素になります。子どもが10分と椅子に座っていられないような場合は、勉強が「わからない」からであり、「つまらない」からです。
まず、理解を助けるために、お母さんが子どもの近くにいるといいでしょう。
お子さんが「これ、わからない」といったら、わかりやすく教えます。面倒になって「自分で考えなさい」といってはだめです。これでは、「私は突き放された」という メタメッセージ(言外の意味) を子どもに与えてしまいます。
どんなにわかっていなくても、わかっているレベルから始めれば、かならずわかるレベルは上がってきます。少しでもわかるようになれば、 達成感 が生まれ、「やればできる」という 自己肯定感 が生まれます。こうなれば、しめたものです。 |
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○ドリルは毎日少しずつ |
ごく一般的にいって、習慣づけるべき学びの時間(=必要な家庭学習の時間)は、低学年の1・2年生で20〜30分くらい、中学年の3・4年生で30〜40分ぐらい、高学年の5・6年生で50〜60分くらいです(いわゆる「中学受験」の場合は、話が異なります)。
また、いつやらせればいいのかですが、基本的に時間を決めるといいと思います。
こうした家庭学習のときに子どもが一番いやがるのが「ドリル」ですが、ピアノの練習と同じで、計算の仕方や漢字の書き方は、「頭で覚える」というよりも、「 手で覚える 」というくらいに、なじんでおく必要があります。
この、つまらないドリル学習を習慣づける方法は、最初は少しずつやらせることです。「 毎日コツコツ少しずつ 」というのが、ドリル学習を習慣づける基本です。 |
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○興味を中心に知識を広げる |
外遊びやスポーツが好きな子どもの場合、一般に座学が苦手です。こういう外遊び指向の子どもの場合、その 興味を中心に知識を広げる という方法をとるといいでしょう。
たとえば、サッカーが好きな子どもの場合なら、「シュート」という言葉をすぐに覚えます。せっかくですから、子どもが「シュート」という言葉を覚えたら、それに関連する英語も教えましょう。かならず覚えます。たとえば、「流れ星って、シューテング・スターっていうのよ」とか、「タケノコ(筍)はバンブー・シュート」とか、です。
小学校で習うことのほとんどは、小学生の日常生活で体験できることから構成されています。したがって、スポーツ以外に興味を示さない子どもも、ふだんさまざまな経験をしていれば、しだいに教科書の内容に興味をもってきます。小学校で学ぶことは、小学校6年間で身につければいい、そのくらいの 心の余裕 をもって家庭教育に臨むべきでしょう。 |
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○苦手なことは慣れ親しむ |
苦手な教科については、その教科を捨てないことが大切です。「算数・数学は別の惑星の言葉」などといってあきらめず、なんとかその「宇宙人の言葉」を理解しようとする姿勢をもつことが大切です。自分の常識と一致しないからといって、否定しないことです。そもそも
学問的思考 は、私たちの常識と一致しないものなのです。I
たとえば、常識的に考えるなら、1に一番近い数字は1ではありません。しかし、数学では、1に一番近い数字は1です。1に一番近い数字は、0.999‥‥です。普通に考えるなら、無限に9がつづいても、1にはならない、と思います。しかし、数学では、0.999‥‥は1なのです。簡単に例示すると、1/3を3倍すると、1です。この1/3は0.333‥‥です。これを3倍すると、0.999‥‥です。つまり、1=0.999‥‥ なのです。
もしも、「算数・数学がわからない」と感じたら、「これはゲームなんだ」と考えるといいと思います。常識とずれていても、そういうもの、そういうルールなんだ、とわりきって、ルールの使い方になじんでいきます。 ルールの使い方になじむ と、だんだん「わからない」という感覚はなくなります。 |
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○その他に |
他にも、「学びの習慣」をつくるうえで、保護者の方にできることはいろいろあります。
*たとえば、 身体を通じて刺激を与える ことです。「何かを始める」という気持ちにさせるには、言いきかせるよりも身体を通じて刺激を与えるほうが、はるかに効果的です。
* 模倣活動を活用する ことも大事です。模倣活動とは、子どもは、基本的に親のすることを真似することです。もしも、夕食のあと、親が、テレビを消して読書をはじめれば、子どももそれを模倣します。
* ほめること も大切です。ほめられることで、子どもは自分の存在を肯定し、より大きな力を出すからです。
* よく遊ぶことも大切です。子どもにとって、 遊びは理解の下地づくり です。とくに外遊びは、五感を用いて世界や他者を感じとる経験ですから、文字や数字を用いた意味世界を理解する土台となります。
* 将来の目的を定めることも大切です。大きくなってなりたいもの、やりたいことがあれば、がんばることができます。 |
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「学びの習慣」をつける方法は、いろいろです。今日お話したことは、その一部です。お子様の性格や、ご家庭の環境に合わせて、無理のない方法をとられるといいでしょう。
確認しておくなら、大切なことは、やっていることがわかる(できる)ことです。わかれば、愉しくなります。達成感が生まれ、自己肯定感が生まれます。わからないものをつくらないことが、「学びの習慣」を形成するうえでは、とても大切です。
もしもお子さんがわからなくなっていたら、「難しいね」といいつつ、一緒に考えてみましょう。わかるための支援を工夫することも、なかなかに愉しいことです。
家庭学習は、文字どおり、家庭全体でつくりだす学習であり、習慣づける学習です。けっして子どもがひとりで黙々とやる自己学習ではないのです。 |
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