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教育コラム 2010. 03
 
  Easier said than done
   
   ハーバード大学に、ロス・グリーンという心理学者がいます。彼は、『親を困らせる子どもを上手に伸ばす』(The Explosive Child. 1998)というベストセラーの著者です。そのグリー ン氏が『学校が見失っているもの』(Lost at School. 2008)という本を出版しました。
   
   この新しい本のなかで、グリーン氏は、教師を困らせる子どもへの対処法を語っています。授業中にたち歩いたり、他の子どもに暴力をふるったり、教科書やノートをびりびりに破いたりする子どもに、どう対処すればいいのか、わかりやすく述べています。

 グリーン氏は、厳しく罰する、親を呼び出す、出席停止にするといった、アメリカで一般的な方法は何の効果もない、といいます。むしろ、事態を悪化させるだけだ、と。

 かわりに、そうした子どもが抱えている「認知」の問題に気づき、その問題をコントロールする技法を当人に教えるべきだ、といいます。子ども本人が、自分がどうしてみんなのようにできないのか、その理由に気づかせ、それを克服する方法を見つけさせることだ、と。
   
   グリーン氏によると、問題行動の原因の多くは「子育ての失敗」ではなく、「自省の遅れ」です。「放任」「甘やかし」「しつけ不足」のせいではなく、子ども自身に自分をふりかえり、自分を理解する能力が充分ではないためだ、といいます。
   
   たしかに、グリーン博士が考えているように、自分をふりかえることに不慣れな子どもは、自分がなぜ他の子どものようにできないのか、なかなか理解できません。そのため、単純に「自分はダメだ」と決めつけ、努力を放棄したり、できる子どもを邪魔したりします。
 このとき、教育者が、「なぜできないんだろう?」と悩む子どもによりそい、その解決を確かな知識にもとづいて支援するなら、子どもは問題行動に走らないでしょう。
   
   ただ、こうしたグリーン博士の提言は、「言うは易し、行うは難し」(Easier said than done)で、なかなか難しいのですが、本当の教育方法は、つねに「言うは易し、行うは難し」だと思います。お手軽な近道はない、ということでしょうか。
   
(校長 田中智志)
 
 
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