「では、あのがけの下にある薬草をとって来る事ができるか。」
石山が言った。
「あんな絶壁を下りて行く事などできません。」
礼明は、大きなため息をつきながら言った。
「もう帰ってよい。」
石山は、下を向きながら帰って行った。
最後に、やって来たのは、真義(しんぎ)という人物だった。礼明がこう言った。
「では、聞こう。もしおぬしが草原で、敵に火をはなたれ、遠く周りを火でかこまれたら、おぬしは、どうする。」
真義が答えた。
「火がもえるには、三つの条件がいります。一つ目は、発火点に達する事。二つ目は、もえる物質がある事。三つ目は、さんそがある事です。ですから、わたしのすぐそばにある草をかってしまえば、二つ目の条件がなくなり、火はわたしの所にはおよびません。」
礼明は真義の頭のよさにびっくりした。礼明が言った。
「では、聞こう。もしある子どもの父親が、馬をぬすんだとする。そして、その子どもが、お父さんがやったと役人に言いに行ったとする。さておぬしはどう思う。」
真義が答えた。
「親もかばえないのは、人としてまちがっていると思います。」
礼明は、大きくうなずいた。そして、石山にしたしつ問をした。
真義は、見事、絶壁の下から薬草をとって来た。礼明がたずねた。
「なぜ、薬草がとれるとわかったのか。」
真義が答えた。
「あの絶壁はしかが下りて行っていたので、馬で下りていく事もできると思ったからです。」
礼明が言った。
「家来になってはくれないか。」
真義は、うれしそうに答えた。
「はい。喜んで。」
その後、国の反乱はおさまり、礼明と真義がきずいた国は、それから五百年も平和にはんえいした。
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