科学科

文部科学省研究開発学校-「科学科」の創設

本校では、2013年度より文部科学省の指定を受け(2016年度までの4か年)、「科学的リテラシー」の育成をめざすまったく新しい教科「科学科」を初等教育において創設し、その教育課程・指導方法および評価方法を確立すべく、研究開発を行っています。この成果は文部科学省における教育課程の改善に資する実証的資料として生かされることになります。
本校が研究開発を進める「科学科」では、自然事象との出会い・体験で生まれた問いを、科学的な知識や能力を活用して探究したり、実社会や実生活とのつながりを感じつつ新たな発見や問題意識を創造したりするような実践を通して、子どもたちが将来にわたって科学技術社会、情報化社会を積極的に生きていくための素養としての「科学的リテラシー」を育てることをめざしています。
リテラシーとは、一般的には「読み書きの能力」のことですが、本研究でいう「科学的リテラシー」とは、科学に親しみ、科学的知識・技術・方法論を活用する能力を指し、「知識」(自然や科学・技術に関する知識)、「能力」(自然や科学・技術に関する事象に進んで関わり、疑問や課題をもとに研究して、証拠に基づく結論を導き出す能力)、「状況認識」(自然や科学・技術に対する、生活とのつながりや長所と限界を踏まえた科学観)、「態度」(自然や科学・技術に対して、科学的な考え方を用いようとする態度)という4つの概念で定義しています。
並行して、2013年度より本校で用いている領域の区分を整理・統合したうえで数理ユニットの1つとして領域「科学」を新設し、本校児童への科学教育にいっそう力を入れています。

「科学科」のモデル授業例

伝えあおう,科学の研究や技術の開発

対象:5年生/実施: 2016年11月

実社会における科学の研究や技術の開発に携わる“人々の営み”に着目して本を読み比べた子どもが、「最もみんなに伝えたいと感じた科学・技術の人間ドラマ」を、ビブリオバトルの手法を用いて、紹介し合います。“科学を学ぶ意義や科学観”、“科学・技術に関わる事がらへの参画や意思決定の芽”を培うための学習です。


テーマ選択学習

対象:3年生/実施: 2015年11月

テーマ選択学習は、個々の子どもに応じて伸びる力を一層伸ばすというねらいの下に設けた学習です。用意された科学に関する4つの学習テーマ(講座)の中から、自分の興味・関心を基に学習計画を立て、それぞれの内容に対してそれぞれのペースで学習に取り組みます。ここでは、「海の生態系」・「マグマあつあつ火山」・「バラバラ分解」・「電気とくらし」の4講座が開かれました。いずれも3級・2級・1級の3つのグレードが設けられています。1つの講座で1級をめざして深く学ぶことも、多くの講座の3級取得を目指して広く学ぶことも可能で、子どもたち自身が選択・決定して学習を進めていきます。


「デジタルカメラ」の開発~技術者たちの営み~

対象:4年生/実施: 2015年11月

身近で日常的にその恩恵を受けているにもかかわらず、その存在や仕組みに対しては無自覚・無関心でありがちな科学技術製品の例として「デジタルカメラ」を取り上げ、その開発にまつわる“技術者たちの営み”を学びます。デジタルカメラは、日本の技術力とチーム力を背景に各社の開発が進められてきました。フィルムカメラとデジタルカメラの対比やDVD視聴を通して、「生活と写真との関わり」を考え、「カメラの仕組みとその開発過程」について学びます。


自在に動け、モーターロボ!

対象:4年生/実施: 2015年11月

左右のモーターの回転で進む「モーターロボット」を主教材として、その“制御”をめざして探究します。細やかな制御が可能なものになるように「試作」を重ねて、性能を確かめていきます。試作機ごとの性能の比較をするためには、共通の規格のコースを用いて、得られたデータを数値化しなければなりません。子どもたちの“改良”の着眼点は様々ですが、探究の進展に伴って、制御に関わる3つの条件への気づきが深まっていきます。


浮くのかな?沈むのかな?

対象:5年生/実施: 2014年6月

英国の科学的探究能力育成のCASEプログラムからヒントを得た、重さと体積がまちまちなビンの浮き沈みの決まりを見出す学習です。「条件を統制した上で比較をするという考え方」および、「考察には、思考を深め、課題の解決に役立つツール(図表など)を用いるとよいという考え方」を育てます。重さを縦軸に、体積を横軸にとった散布図に、クラス全体の実験データを表すことで、浮き沈みのきまりが目に見えるようになってきます。


開発しよう、紙バネおもちゃ!

対象:5年生/実施: 2014年11月

美しく楽しい動きをする紙製のバネのおもちゃを開発するという目標の下、「試作」を通して「紙のサイズ」「枚数」「斜面を下る速さ」の関係を見出し、よりよい製品づくりをめざします。「なぜ?を探る理学的アプローチ」だけではなく、「願いの実現をはかる工学的アプローチ」を加えた授業です。工学的アプローチをとることによって、科学・技術を活かした製品開発に携わる人々への関心を高め、科学・技術に対する感性・心情を育成していくことは、科学科の特徴のひとつと言えます。


八ヶ岳と知床の自然を比べよう~体験を通して学ぶ生態系~

対象:6年生/実施: 2014年6月

6年生が卒業旅行で訪れる知床を舞台に、動植物の数に着目して持続可能な生態系の条件を探っていきます。自然界における動植物の「食う-食われる」関係は、児童にとって空間的にも時間的にも大きなスケールを対象とした学習です。それゆえ、野外で個々の生物の観察をしても、そのことがその背景にある生物相互の関係の把握に結びつかない、直接的な観察自体を設定しづらいなどの難しさがあります。そこで、「変数を自在に変えることのできるシミュレーション」の手法をとって、生物相互の関係性をより実感をもってとらえられるようにしています。


電流が生み出す力 ~科学者の発見とものづくりへの応用~

対象:5年生/実施: 2014年2月

19世紀の初めのころまで、電気と磁気とは別々のものだと考えられていました。1820年、デンマークの科学者エールステッドが電流を通した導線で方位磁石が動くことを発見し、そこから飛躍的な科学の発展をもたらした電気磁気学が始まりました。この授業ではエールステッドの世紀の大発見を実験によって追体験します。さらにその性質を利用して目に見えないはずの電流の量をはかる簡易電流計の原理を学び、自分たちで実際に電流計をつくることで科学的知識と洞察力を身につけていきます。


流れる水のはたらきと郷土の川

対象:5年生/実施: 2013年10月

この授業では、マクロな見方とミクロな見方とを行き来しながらチームで科学的推論を実践します。衛星写真(マクロ)と現場写真や岩石の写真(ミクロ)とを見比べ、さまざまな特徴から、どの現場がどの川なのか、また上流・中流・下流のうちどこなのか、KJ法とあわせたチーム全体でのブレーンストーミングによって仮説を立て、さらに調査や観察を行って検証しながら研究を進めていきます。 川に関する科学知識を学ぶほか、科学的な探求法、発想法、討論による新しい知の発見などを体験することも重要なねらいの1つです。


ガリレオがみつけた(?)ふりこのきまり

対象:5年生/実施: 2013年9月

「ふりこのきまり」(振り子の法則)は、ガリレオがシャンデリアを見ていて思いついたと伝えられているが、それは本当なのか。当時のガリレオになって実際に実験を繰り返しながら、このエピソードの真偽や物理法則について調べ、考えていきます。


台風がもたらす生活への影響

対象:5年生/実施: 2013年9月

台風がもたらした被害を伝える新聞記事を比較しながら読み込み、読み取った内容や気づいたことを付箋に書き込み、付箋の形で情報を分類・整理する科学的思考法(KJ法)を用いて、集めた情報の整理・分析をしていきます。さらに、天気図を用いて台風の進路を調べながら、児童たちは台風に関する地球科学などの成果とわたしたちの日常生活との関わりについて考え、認識を深めていきます。


バタフライガーデンを作ろう

対象:3年生/実施: 2013年6月〜7月

学校の自然観察園でモンシロチョウの幼虫や卵を見つけたことを契機に、児童はほかの種類のチョウの生態にも興味をもって調べ始めます。そして、多くの種類のチョウがやってくる「バタフライガーデン」をつくりあげるために、オオムラサキセンターや他の地域の森や草原に出かけてさまざまなチョウの多様な生態に気づき、ガーデンづくりに応用していきます。


森博士になろう

対象:2年生/実施: 2013年7月

愛宕山の森で遊び、大きなクズの葉を使った「葉っぱ鉄砲」のおもしろさに触れて、もっと葉っぱ鉄砲で遊ぶためにクズの葉を探しに行く……そんな自然な子どもらしい行為の中にも科学の心が芽生えています。子どもたちはやがてクズの葉の植生に見られる特徴に気づき、植物や森の不思議に惹きつけられていきます。


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