教育コラム 2019. 04.

それぞれの生の物語

    だれが書いたのか、わからないのですが、「タイムゾーン」(Time Zone)と呼ばれている英語の詩があります(本当の題名ではないと思います)。その一部を紹介します。

    「ニューヨーク[の時計]は、カリフォルニア[の時計]よりも3時間進んでいる。でも、カリフォルニアが遅れているわけじゃない。‥‥‥
ある人は25歳で企業のトップに立ったが、50歳で死んだ。ある人は50歳でトップに立って、90歳まで生きた。‥‥‥
この世界のだれもが、自分のタイムゾーンで生きている。あなたの近くのだれかが、あなたよりも先に進んでいるように見えるかもしれない。‥‥‥だれかが遅れているように見えるかもしれない。だれもが自分のタイムゾーンで走り続けている。
妬まないで、嘲らないで。
彼らは、自分のタイムゾーンにいる。あなたがそうであるように。
人生は、再起の正しい時を待つようなもの。
リラックスして。あなたは遅くないし、速くもない。
あなたは、まさに時刻通りに生きている
あなたのタイムゾーンのなかで、あなたの運命が定められている。‥‥‥」。

    この詩は、自分が生きている時間は、固有の進み方をしている、と言います。いつ成功するのか、いつ失敗するのか、いつ始まるのか、いつ終わるのか、それぞれ固有に決まっていると。だから、他人と比べて、自分を誇ることも、他人を蔑むことも、無意味なことですよと。

    そうは言われても‥‥‥というのが、私たちの本音かもしれません。「他者からの承認」に囚われるのが、人というもので、その承認は、他人との比較から成り立っていますから。
この詩のように考えるためには、他者を超える存在者、「あなたの運命」を定めている超越的な存在者が必要かもしれません。そうした超越者がいなくとも、この詩のように考え生きることはできるのでしょうか。

教育顧問 田中智志
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